新入社員・中堅社員又は同じ年次の社員でも能力やスキルなどが異なります。階層別人材教育とは、役職・職能・等級及び社歴で従業員を区分して階層化し、階層ごとに人材育成のための教育を施すことです。一方部門別人材教育とは、その部門における主として業務推進に必要な知識・スキル習得を目的としたキャリア・アップのための教育となります。企業における人材育成は「階層別教育」と「部門別教育」とを併行して行う必要があります。本ページではこれら教育方法の概要についてご紹介致します。
日本橋総合コンサルタント合同会社のホームページの構成を「サイトマップ」に表示して置きましたので、ページ閲覧の際にご活用頂けると幸いです。
企業における商品(もの)と情報の流れ
企業における商品(もの)と情報のの流れに沿って様々な業務を熟すための組織(部門)が形成されます。本ホームページでは製造業を代表例として取り上げ、役職・職能・等級及び社歴で従業員を区分して階層化し、更に組織を構成する部門に分けて、各々について業務処理に必要な要件を定め、これら必要要件を満たすための人材教育の在り方について検討して見ましょう。
製造業は日本標準大分類によると、次のように定義されています。
- 新たな製品の製造加工を行う事業所であること。
- 新たな製品を主として卸売する事業所であること。
製造業では、企業規模及び生産する製品に応じた組織形態(役割分担)が存在し、各組織が有機的に商品と情報を共有し、ものづくりを行って行っています。組織構成部門として、大きく分けて間接部門(営業・販売、人事・労務、財務・経営、開発・設計、生産技術及び品質管理部門等)と直接分部門(製造、生産統括、購買・調達部門等)に分けれます。企業規模により各部門の名称が異なったり、部門ではなく担当者を置いたりしていることがあるかと思いますが、部品・原材料の購入から生産・出荷までの過程の中で様々な組織・人による「ものづくり」が行われています。
上記の図表をご覧になってお分かりかと思いますが、原材料の調達・購買~商品の出荷・販売までの過程で様々な部門(担当者)が「ものづくり」に関与しています。企業経営の観点で言いますと、利益を稼ぎ出すためにはこれら部門に所属する社員の業務遂行能力を向上させ、全社一丸となって「ものづくり」に邁進する必要があります。
これからご紹介する人材育成のための研修プログラムは、代表的な事例として製造業を取り上げています。各業種・業態における共通する面もありますので、製造業のみならず建設・土木業、小売業、卸売業、その他サービス業にも、その考え方を適用できるのではと思われます。
階層別・部門別人材教育の要点
(1)教育の種類
企業で一般的に行われている教育は以下の4つに大別されます。
- 全社共通教育:ミッションステートメントやコンプライアンスなど、企業や社員が共有するべき価値観、行動指針等を修得して貰う為に施す教育
- 階層別教育:新入社員、若手社員、中堅社員、管理職等階層ごとに実施する教育
- 部門別教育:部門ごとに業務遂行上必要な知識・スキル習得を目的とした教育
- 職種別教育:職種ごとに業務遂行上必要な知識・スキル習得を目的とした教育
これら研修の内、特に重要なのは「階層別教育」と「部門別教育」かと思われます。後ほど階層別・部門別職能要件について検討致しますが、「職種別教育」は「部門別教育」の中に含まれています。
(2)階層別教育について
階層別人材育成・教育とは、役職・職能・等級及び社歴で従業員を区分して階層化し、階層ごとに人材育成のための教育を施すことです。階層別人材教育の対象者と教育内容の概要を以下に示しておきます。
- 新入社員:実務を処理するための基礎知識や考え方及び心構えを学びます。
- 入社2~3年:ビジネスの基礎知識を理解し、上役の指示のもと自ら業務を推進できるように能力アップを図ります。
- 中堅社員:自立して考えて実務処理を行うとともに問題解決能力を身に着け、後輩の指導を行いながら、中間管理職の指示のもと、組織的な目標達成に向けてマネジメントに関する基礎知識を習得します。
- 中堅管理者:管理職としての役割を自覚し、部下と適切なコミュニケーションをとりながら上級管理者を支援し組織運営ができるようにマネジメント能力を高めてゆきます。
- 上級管理者:経営幹部へのサポートのみならず、部下を統率し部門の責任者として組織運営が行えるようにスキルを向上させかつ経営ノウハウを修得してゆきます。
この様に階層別教育は、役職や社歴などに分けて業務遂行のための能力やスキルを身に付け、個人のキャリア形成やスキルアップを目的として行われることが多いかと思われます。
(3)部門別教育について
部門別教育は、その部門における業務推進に必要は知識やスキルを習得するために行います。工場における機械の操作方法・作業手順などについては、マニュアルまたはOJTを用いて実施することが出来ますが、
- 部門やチーム等の組織力を高める
- 部門内における次世代リーダーを育成する
- 部門の生産性を高める
- 部門として全社の経営に貢献する
ことを狙いとして人材育成のための教育を施す必要があります。従って、部署に所属する社員を対象に、スキルや能力を発掘して個々人の能力を引き出し、組織力を高めていくことを目的としますので「能力開発」的な意味合いが強くなるかもしれません。個々人のスキルや能力を引き出すための教育カリキュラム(プログラム)の構築が必要不可欠となります。
階層別・部門別職能要件の事例を下記に示しておきました。縦欄に部門、横欄に階層を示してあります。縦と横の合わさった欄に、業務推進に必要な「職能要件」を簡単に記載してあります。例えば、新入社員で製造部門に属している場合には、「各種手続きの知識を習得し特別な熟練を必要としない補助的な業務」が熟せることが「職能要件」として挙げられます。要は「当たり前のことが当たり前にできる」と言うことになるかと思われます。
職能要件に関する厚生省のホームページ「職業能力評価基準の策定業種一覧」をご紹介致します。業種・業態及び階層別にどのような職能要件が求められているかを知る上でご参考になるかと思われます、
人材教育(OJTとOFF-JT)の実施方法
人材育成のための教育をここでは「人材教育」と省略させて頂きます。人材教育の実施方法として、「OJT」と「OFF-JT」の2種類があります。以下にこれらの方法と狙いについて簡単にご紹介します。
(1)OJTとOFF-JTの違い
OJTは新入社員・業務未経験者を社内の職場に配置して、先輩・上司のもとで実務経験を積ませ仕事を覚えて貰うことを主眼として実施されています。一般に単純工数の繰り返しで、仕事を覚えた時点で次の仕事工程(業務)に移動させることが多いようです。しかしOJTによる教育内容は、階層別社員教育の一環として捉えて、一工夫する必要がありそうですま。
一方OFF-JTは階層別人材教育の一環として、職場を離れ社内の会議室等の別室又は外部の会議室などを借り、社内講師又は外部講師により、業務又は組織運営に必要なマネジメント知識の修得を狙いとして実施されています。
(2)効果的なOJTの実施方法
中小企業の場合、人材育成に掛ける資金的な余裕が無いため、形だけの「OJT」を実施されておられるという話を聞いております。「OJT」はただ単に工程もしくは職場に配属し、仕事を覚えて貰うことだけではありません。「OJT」の実施内容を一工夫することにより、より内容を充実させ教育効果を上げる事が可能となります。以下に効果的なOJTの実施方法についてご紹介致します。
1)指導員の選定・レベル合わせが大切
OJTは、指導員となる経験者の選定とレベル合わせが必要不可欠となり、以下の点に留意して 指導員を選定・教育することが大切です。
- 事前に教育スケジュールを立案・企画しておき、誰が・何を・どの様に・いつ教えるのかなどについて、指導者間でレベル合わせをしておくこと
- 業務経験及び指導内容により適切な指導者を選定すること
2)指導員は教育者であり寛容に徹すること
OJTは指導員と新入社員・業務未経験者とのマンツーマン又はグループで実施し、指導員の態度如何によって、指導結果・達成度が異なりますので要注意です。 5Sの中に「躾」があります。社員教育は「躾」の一面性があります。
- 躾とは、決められたことを決められた通りに実行できる様に習慣づけることです。
- 躾けるには、繰り返し・繰り返し論じ、場合によっては叱ることも大切かも知れません。
3)OJTとOFF-JTを組み合わせる
社内で「OJT」を実施される場合には、「OJT」と「OFF-JT」を繰り返すことによる教育効果が高くなります。
日本橋総合コンサルタント合同会社では、お客様へのコンサルティング活動の一環として、社内での人材教育のお手伝いもしております。人材教育でお悩みであればご遠慮なくお問合せして下さるようお願い致します。
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「人材育成・教育」ページは下記に示す主テーマで構成されております。
- 人材育成・教育・・・本ページ
- 社員のモチベーションを向上させるには
- 階層別・部門別人材教育とは・・・本ページ
- 階層別教育Ⅰ:職場の労働安全衛生
- 階層別教育Ⅱ:階層別研修プログラム
- 部門別教育Ⅰ:ものづくり社員研修プログラム
- 部門別教育Ⅱ:ものづくり品質管理研修プログラム
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